光 糾う

光 糾う

期間:2023.7.8~8.27

「光 糾う」―平戸銀線細工とポルトガルのフィリグラーナ―

「フィリグラーナ(Filigrana)」は、金銀を極細の繊維状にして作る金糸・銀糸を縒(よ)り合わせ、精巧なレース模様を作るポルトガルの伝統工芸です。その起源は古く、紀元前5世紀から2世紀ともいわれます。大航海時代は聖遺物箱の装飾にこの金銀線細工技法を用いました。
1550年、ポルトガル船が平戸に初めて来航し、ポルトガル貿易が開始されると、キリスト教の布教とともに、宣教師らによってフィリグラーナの技法も伝わります。平戸を窓口に伝わったこの工芸技法には「平戸細工」という名が付き、やがて全国で帯留めや簪(かんざし)などに広く使用されるようになります。
江戸時代の彫金関連書『装剣奇賞』には「平戸・そのはじめ肥前の平戸にて製するによりて名とす。今京師より出るは至て下品に賤價のものなり。ふるきものハ、金又銀の針金を巧に組て、處々に玉類を装ひて緒〆とす」とあり、「平戸細工」が平戸の地で制作されていたことがわかります。

しかし、「平戸細工」と呼ばれながらも、現在の平戸には残っておらず、秋田の伝統工芸品として継承されています。秋田市の無形文化財「秋田銀線細工」は、長年にわたりその技術を脈々と受け継いできました。
本展では、ポルトガルのフィリグラーナと日本の平戸銀線細工作品を紹介します。緻密な手仕事の技とその優美さの中に、日葡貿易の時代より現在まで連綿と続いてきた「平戸細工」の光り輝く歴史を感じてください。

【会期】 2023年7月8日(土)~8月27日(日)※会期中無休
【会場】 平戸オランダ商館 2階 (〒859-5102 長崎県平戸市大久保町2477)
【入館料】 大人310円 小中高生210円

【主催】平戸オランダ商館 / 公益財団法人 松浦史料博物館
【協力】進藤春雄 氏 / 矢留彫金工房 / 一般社団法人 LINK SUPPORT / 長崎純心大学博物館 / 水眠亭 山崎史朗 氏
【お問合せ】
平戸オランダ商館 0950-26-0636  shokan1639@matsura.or.jp