復元のあゆみ

復元工事のすすめ方

壁石の積み上げ作業

和蘭商館の外壁は、全て石積み造りです。 砂岩を切り出した、大きさ60cm×30cm×15cm、重さ約60kgの石材が約21,000個使われます。
石積み後、壁の仕上げに漆喰が塗られ、見学ゾーンを除く全ての石積みが隠れることになります。

日本建築の技術を踏襲した屋根造り

この建物の屋根には、平瓦や丸瓦など約25,000枚が使われており、重量は約50tにのぼります。この重さを支えるために、多くの木材を使用し、複雑な構造で小屋組みがなされています。洋風の建築物でありながら、緻密な木材の組み込みと瓦葺きの屋根は、日本の建築技術が活かされており、当時の多くの大工職人が商館の建物に従事したことを物語ります。

建物中央に立ち並ぶ柱

商館の屋台骨とも言える巨大な柱は、約50cm四方のものが1階に11本 2階に10本立ち並んでいます。オランダ本国に残る同種の倉庫においてもよく見られる構造で、 大きな特徴の一つです。巨大な木材は、樹齢700年相当のものを使用しています。

匠の仕事 アーチ門

商館正面入り口となるアーチ入口は、精密に切り出した石材を左右から15個組み上げ、絶妙なバランスで成り立っています。このアーチには、厚さ10cm、重さ120kgの木製の扉が設置されます。

受け継がれた技術
平戸市役所そばの「幸橋」はこのアーチ技術を応用して架けられたもので、オランダの建築技法が伝承され、現代に伝えている貴重な財産であると言えます。

商館の象徴「1639VOCロゴ」

たて45cm、横136cmのロゴマークは、外壁同様砂岩の石版で、当時の建築年である「1639」の標記があり、平戸和蘭商館の象徴となる飾り石です。正面中央破風部分に取り付けられます。この標記が原因となり、倉庫の取り壊し、さらに商館が長崎移転されるといったドラマのあるロゴマークです。

その他の作業写真

野地板葺き
野地板葺き
複雑な小屋組みの様子
複雑な小屋組みの様子
複雑な小屋組みの様子
複雑な小屋組みの様子
外付け階段
外付け階段
切妻壁の石積作業
切妻壁の石積作業
屋根裏に設置された巻上機
屋根裏に設置された巻上機