クリムゾン・ギルト

クリムゾン・ギルト

期間:2025.10.25-11.30

クリムゾン・ギルト Crimson Gilt
―ヴィンセント・ライタス Vincent Ruijters 個展―

◇会期:2025年10月25日(土)―11月30日(日) ※会期中無休
◇開館時間:8:30-17:30
◇場所:平戸オランダ商館2階 多目的スペース
◇入館料:大人310円 小中高生210円

第40回国民文化祭、第25回全国障害者芸術・文化祭
ながさきピース文化祭 2025 ひらどいろんなところで芸術祭 オランダ現代アート展

クリムゾン・ギルトは、平戸オランダ商館、ジャカルタ(インドネシア)の Museum Bahari、アムステルダム(オランダ)の国立海洋博物館で開催される三国共同の展覧会(予定)で、オランダ人アーティスト ヴィンセント・ライタス によるインスタレーション作品です。
本作品は、展示場所によって色が変化するテキスタイルインスタレーションで、浮かぶVOC船の幻想を生み出します。船は1748年にオランダ東インド会社(VOC)のために建造され、航海中に沈没した「アムステルダム号」をモデルにしています。Crimson Gilt のフィクションは、船は平戸(日本)、バタヴィア(ジャカルタ/インドネシア)を経て、最終的にアムステルダムへ帰港する航海を完遂します。
クリムゾン(深紅)とゴールド(金)の色彩は、平戸オランダ商館の展示で特に際立ちます。船の前面はゴールド、背面は深紅で彩られ、ゴールドは日本において経済的・文化的恩恵をもたらしたとされるVOCの肯定的イメージを象徴しています。一方、深紅の内部は、VOCネットワークの他地域、特にインドネシアで行われていた搾取や奴隷制度、そして植民地主義を示唆し、貿易における搾取と富の絡み合いを浮き彫りにします。
これらの配色は各会場で変化し、来場者が作品の中を歩くことで異なる視覚体験が生まれます。三つの地域の共通する歴史と異なる視点をつなぎ、自然・人間・海洋の要素が融合することで、オランダ、インドネシア、日本に共通するVOCの歴史における相違と連関を体験させる作品です。

[作家プロフィール]ヴィンセント・ライタス Vincent Ruijters
ヴィンセント・ライタスは、主にサイトスペシフィックなアートインスタレーションやパフォーマンスアートを制作するアーティストです。オランダアムステルダムを拠点に、インドネシア、日本、韓国、アメリカなどで国際的に活動しています。
1988年生まれ、ハーグ育ち。オランダ人の父と、中国系インドネシア人の母を持ちます。母方の家族は7世代にわたりインドネシアで暮らしていましたが、1965年に起きた大量虐殺を逃れオランダへ移住しました。幼少期、ヴィンセントは「母方は自発的にヨーロッパへ移った」と聞かされて育ちましたが、後に自分のペラナカンのルーツと母方家族の移住の真の背景を知ることになります。
インドネシアへの訪問や家族とのつながりを通して、地域文化に触れる一方、主に白人が多い環境で育った彼は、自身のアジア的ルーツに疎外感を感じていました。そしてアジアとの関係を深めるために日本へ移住し、東京藝術大学で学びました。
日本での約10年間の滞在を経てオランダへ帰国。自身の多文化的背景や経験をもとに、アイデンティティや人間関係の現象学に焦点を当てた作品制作に取り組みます。
代表作には、インスタレーション『Cave Inside the Body of Shadows』やダンスパフォーマンス『Shadowplay』があります。これらの作品は、中国系インドネシア人としてのルーツへの芸術的探求の第一歩となりました。さらにジャカルタのGudskulとジョグジャカルタのHouse of Natural Fiberでのダブル・アーティスト・イン・レジデンスを経て、リサーチ成果をもとに制作された『Selintas Selalu』は、ジョグジャカルタの代表的な年次グループ展「Nandur Srawung」で展示され、インドネシア独立期の揺れる時代を表現する作品として選ばれました。オランダ、インドネシア、日本という地域との深いつながりを基に、現在のアートプロジェクト『Crimson Gilt』が生まれています。

[主催]文化庁/厚生労働省/長崎県/第40 回国民文化祭 第25 回全国障害者芸術・文化祭長崎県実行委員会/平戸市
[共催]平戸オランダ商館
[協力]オランダ国⽴海洋博物館(Scheepvaartmuseum)/インドネシア海洋博物館(Museum Bahari)/公益財団法人 松浦史料博物館
[助成]モンドリアン基金/クリエイティブ・インダストリー基金/在日オランダ王国大使館
[制作]サウンド:上村 洋⼀/テキスタイル:Knitwear Lab/企画・コーディネイト:Nest.Co.,Ltd (CAVE-AYUMI GALLERY)